ブログの記事を書くのにはさまざまな方法がある。
徹頭徹尾ウェブの編集画面から書く、という方法はあまり良いとはいえないため、大抵はローカルに書いてからコピーしたり、あるいはポストまでできてしまうソフトもある。後者で言えば、Kakuなどがそれだ。
Tra-izonのこのブログは、私こと君継と、そして猪間ともに同じソフトウェアを使用して書いている。Journlerというソフトだ。
Journler – Wherever Life Takes You
Journlerというソフトは、ぱっと見て日記ソフトやワークフロー管理ソフトに分類され、DevonThinkやMacJournalなどのソフトが競合として挙げられることがある。だがそれは、ほんの一部を説明するに過ぎない。これは、それよりさらに良いものだ。
このソフトについて一言で、さらに的確に説明するとすれば「テキストのベースキャンプ(拠点)」だ。十徳ナイフ、何でも屋……兎に角そんな感じの表現がぴったりだが、本当にさまざまなことが、このソフトで出来る。もともとシェアウェアを予定していただけのことがあって、ウェブ上を少し検索するだけで、このJournlerというソフトがいかに優秀か、垣間見ることができるだろう。
EvernoteやShoveBoxのように(あるいはそれらと共用して)クリッピングに使うことも出来るし、GTD(Getting Things Done)やPIM(個人情報管理)にも向いている。OSや純正ソフトウェアとの連携もさすがで、Spotlightでの検索はもちろん、Mail.appと連携してメールの下書きにも使うことができる。もちろん、画像や音楽などのメディアに限らず、あらゆるファイルをテキストと一緒に扱うことができる。
何より素晴らしいのが、その機能がすべてそのインターフェースに最適な形で含まれていることだ。スクリーンショットを少し見ただけで、どのような使い方をするのか、例えばどんな機能があるのか、見ることが出来る。ツールバーのカスタマイズをすれば、一見では見えなかった主要な機能のすべてを俯瞰できる。
左上の隅のカレンダー、左にあるフォルダ・スマートフォルダ一覧、日付やカテゴリ、タグなどでソート可能なエントリ一覧、そして場所をたっぷりと取った本文欄。Mail.appのようなシンプルな3+1ペインの画面で、とても使いやすい。
テキスト情報はリッチテキスト相当しか扱えないため、小説を書くことにこそ使えないが、私(と猪間)はブログを書くのにこれを愛用していたが、しかし残念ながら、2009年の9月を以て、Journlerは開発が終了していた。
バージョン2.6のリリースを以て開発を終了し、引き取り手がいなければオープンソースにする予定だったという。しかし結果的に、2.5.5を出したきり、(メールでのサポートは継続するとあったが)開発終了の報が出た。(『Journler development ends, Sprouted shutting down』。Giles Turnbull氏の『The End – And Perhaps Not The End – For Journler』に簡潔にまとめられている。)
「ユーザー数も増えたし、コードも膨大で複雑だし、メールやフォーラムは数が多くて管理しきれなくて、読むだけだって手一杯だよ。しかも、開発を続けるお金もない」ということらしい。
それに気づいたのもだいぶ後だということもあって、開発が終了したところで使い続けるつもりだった。
ではなぜこんな記事を書くかというと、開発の引き取り手が見つかりそうとだいう情報が入ったからだ。
フォーラムの『An update on personal and journler happenings (good news!)』に書かれているには、前述のGiles Turnbull氏の記事がきっかけで、興味のある開発者が集まりつつあるらしい。Journler開発のPhilip Dow氏も職につき、メールを通して多くの開発者がJournlerの引き継ぎに関心を寄せていることを確認したようだ。Journlerの今後について、明るい見通しが立ったとか。
Journlerのダウンロードは公式サイトで可能だ。是非使ってみて欲しい。