アブストラクト
私がレジンキャストで使っている造形村透明シリコーンでピュータを鋳造してみました。
通常ピュータの鋳造には耐熱シリコーンを使うようなのですが、この記事では、耐熱ではないシリコーンで鋳造が出来るかどうかと、その使い勝手などをレポートします。
イントロダクション
造形村透明シリコーンは、半透明の注型用シリコーンで、ホビー用のウレタンを流し込むのに便利な型剤です。
使用するに当たっては、事前に真空チェンバー的なもので気泡を抜く必要がありますが、これは2000円程度の装置を使う事でできます。→真空おひつで脱泡型取り
今回は、透明シリコーンで型を作り、メタルフィギュアを作ってみました。
結論としては、
透明シリコーンでも綺麗に抜ける。
型の出っ張ったところ(キャストするとへこみになる部分)がしばらくすると焦げてくる。
透明である意味はあまりない。
ので、耐久性とか考えると専用のものを使ったほうがよいのではないかと思います。
仕上がり
色を塗ると上のようになります。上のはテストショットなので、一部抜けていない部分もありますが。だいたいあってます。
彩色については、上の写真みたいなお手軽仕上げについてのエントリーか何かをまたつくろうと思います。
今回は、メタル注型について。です。
注型の手順
型のクランプ
不燃材の板を机に敷き、その上で、シリコーン型を不燃材の板に挟んでクランプします。
このとき、輪ゴムだと熱で切れるそうです。大変危険なので金属製のはさみを使いましょう。
ピュータを溶かす
熱源でピューターをとかします。電熱器やカセットコンロが便利です。
溶けるまで数分かかりますが、端が溶け始めると一気に溶けます。溶けると結構とろとろになります。
湯を流し込む
少量とは言え金属の溶けたもので、しかも柄の長いレードルを使います。初めて持った時はかなり重く感じました。
あらかじめ火をかけない状態でピューターチップを乗せて重さの感じを掴んでおくのもよいでしょう。溶けると重心が変わるので、其れでもはじめはびっくりしました。
レジンキャストよりも重いので結構簡単に奥まったところまで流れます。しかし表面張力が大きいので空気抜きの孔からキャストしたメタルが出てくる事はないでしょう。
レジンキャストに比べるとすぐに固まります。一気に流してしまいましょう。
固まったら方から外す
型に流してしばらくすると、表面がふつふつして来ます。
其れが収まったら外し時かなと思っています。
さめるまでに収縮し、その分、湯口の上、型の開口部のところがへこみます。
流し込んで余った分はもう一度とかして使えるのであまりぎりぎりの量を流し込まないようにします。
型をあけるとこんな風に流れています。
しばらく熱いので型から出す時にはやっとこやラジオペンチを使います。
不要部分をニッパーでカットしたら出来上がり、塗装に入ります。
道具と材料
ピュータ
錫の合金で融点が低いのが特徴。イギリスでは工芸品としてよく使われるそうです。
ホワイトメタルに変わってメタルフィギュアにも使われているとの事。
今回は大田区の佐々木半田工業さんのピューターを使いました。
メタルキャスティングスターターセット
ミニチュアメーカー オーロラモデルさんのスターターセット。
レードル(鍋)と耐熱パネル、クランプ、粉が入っています。
粉はおそらくタルクパウダーだと思います。ベビーパウダーでも大丈夫。
熱源
よく使われるのは電熱器なのでしょうか?私はカセットコンロを使っています。
また、台所のガス台でも可能です。ただ、鍋が通常通物よりもかなり鍋が小さい為、焔がほとんど鍋に当たらないのと、温度が高い為頻繁に安全装置が作動し、なかなかピューターが溶けませんのでオススメはしません。
今調べてみたらカセットコンロも電熱器も価格は2000円未満から3500円位のものからあり、どちらもそんなに費用は変わりませんね。
あとは大きさとか、コンセントに繋がなければいけないとかガスが消耗品とかそういうのを考えて好きなのを使えばいいと思います。
キャスト素材の違いの私見
流路
流すものの特性が結構異なるので、型の作り方も変えたほうがよいと思います。
ピューターは表面張力が大きく、重く、すぐ固まります。
重くて流れやすい為、気泡は出にくく、固まりやすいのでアンダーゲートは適していないかも知れません。
今回例に出したフィギュアの型は、ピュータでは抜けますが、レジンでやってみた際は首のところに大きな気泡が出来て頭が成型されませんでした。
また、円形ベースも湯口付近に気泡が出来ています。
これらはピューターでは共に発生していません。
分解能?
ピューターも綺麗に抜けていますが、下の凸モールドみたいな部分はレジンの方が綺麗に抜けます。
というかピューターでは読めません。表面張力が大きいのと、湯が重い為、型が変形しているのではないかという仮説をいまは経てておきます。本当は判りませんが。
手にした時に重みはピューターがよいですが、精細なディティールを再現したい場合はレジンの方がよいかも知れません。
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最後まで読んでくれて有り難うございます。
2016年2月7日、幕張メッセで開催されるワンダーフェスティバル2016冬にトラネコワークスは出展します。
ブース番号は[7-11-11]。
今回のエントリーのフィギュアも持っていきますのでぜひ遊びに来てね。