いやいや、単に読み終わっていなかっただけですよ。
「式神 第二章 蠱毒」
富士本球
当サイト——否ブログ——でも何度か紹介しているような気がするイゴールの書斎さんの富士本球ちゃんの新作です。
では感想文、行きますよ〜。
本作品は伝奇です。実に良いジャンル名だと思います。でも知らない人にとっては意味のわからないジャンル名かも。うぃきぺたんに聞いてみたら元は中国の芸術用語みたいですね。
さて、「式神」は伝奇と私は思い読んでいます。ただし題名から受けるイメージよりは洋風寄りの作品じゃないかな。洋風というのは舞台が欧州とかそういうことではなくて魔術設定が欧州系列って位の意味ですけど。
異形の存在の影がこの時点では割と薄いですね。最重要登場人物である「鬼姫」は鬼神だと言われていますのでそういった神々だとか魔物がいない世界ではない事は伺えます。ただ、舞台が日本と言うこともあり、また、人間関係が重視されている作品でもあるので主要な人物(ちょいと出てきて通り過ぎるわけではないキャラ)は鬼姫以外今のところ人間です。ということで本当に人外(人間が人外を獲得したわけではなくて生まれながらにそもそも人間じゃない)という異形は影が薄いです。
それだけに、神々が姿を見せないいわば人の世である現代を舞台とするには良いの世界観と言うことができるかもしれません。
主人公はルーンを使う魔術師の少女。女子高生。歴史ある魔術師の家系の若き当主。といったところ。割と優秀な魔術師のようだけれど実務経験等考えるとまだまだ未熟らしい。
この主人公が街で起こる様々な事件(魔術関連)を解決していく。というシリーズです。
基本的に群像というか何人かの登場人物による一人称形式で進んでいきます。一章に比べるとミステリー感というか「誰が犯人だろ?」というのは薄まっています。というか初期の段階で主人公達にも名前は解っていましたが。
惜しい点はシーンの入れ替わりがWeb版よりも解りにくくなってしまった事と時々一人称と三人称が混じってしまうところ、また登場人物の呼び方も場面によって言ってしないところもありました。
ともかく、群像形式をとることによって書く登場人物の心理描写、特にテーマである孤独とそれぞれの葛藤が実によく書けていると思います。第二章は魔法ミステリーよりはそこら辺の各人の葛藤を見ていくのがよいかなと。
同人誌版には書き下ろしでスピンオフというか補完作品が付属します。今回初登場した病院のメンツのわりかし狂った日常が描かれていました。
Web連載ではいよいよ佳境を迎えこれから締めていく段階に入っていくと思います。いわば決着。都市という魔術的にもたぶん難しい土地を管理する凜にかけられた過去千年以上にわたる因縁とか、三章で登場した諸々。そしてもちろん友人関係に関しても精算というか、ぜひハッピーエンドで終わっていただきたいですね。楽しみです。
富士本球ちゃんの今後の活躍を応援しつつ、本稿はここらでお開きといたしましょう。
猪間“αブロガーに俺はなる”神時
「式神 第二章 蠱毒」
富士本球さま