マウスもキーボードもジョイパッドも、さらにはモニタさえも時代遅れにしてしまう新世代のゲーム機、ナーブキア。ゲームの世界に潜り込めるというマトリックスとかコレクターユイとかそんな感じのゲーム機です。
さて、そんなナーブギアで初のMMORPG「ソードアートオンライン」が今作の舞台です。要するにバーチャルな世界に潜る体感型のMMORPGの話です。
中盤からこの世界独特の言い回しが出てきてなんかおもしろいです。
主人公はパーティも組まずギルドにも所属していないソロプレイヤー。成り行きというかヒロインのごり押しでパーティを組んだ後は基本的に最後までヒロインと行動をともにします。なんかうらやましくなりますよ。あまりにかわいいもんで。
主人公含め登場するキャラクターはPC(プレイヤーキャラクター)でみんなハンドルネームを使って呼び合っています。そこらへんの感覚が新鮮でした。ファンタジックなハンドルやクラスでありながら彼らはプレイヤーです。しかしアインクラッドで生活しているというかせざるを得ない。なんかその二重性がうまく表れていて不思議な感じです。
まあ、私はMMORPGやったこと無いのでそれらを比べてということはいえませんが。
物語序盤でプレイヤーはゲームの世界に閉じこめられ、黒幕がゲームデザイナーという点で「クリス・クロス 混沌の魔王」という作品を思い出しました。クリス・クロスとソードアートオンラインではVR装置の性能というか性質(さらに書かれた時代もあると思います)によってトリック面と物語規模が変わってきていますね。
また、もう一つ、「想いはシステムを超える」というのもテーマとして出てきている感じがします。作者川原礫氏の前作「アクセルワールド」に川上稔氏が寄稿していましたが、川上氏のサイトに乗っているAHEADの小説「翼」に通じるものがあるなあという気が。
そういえば「翼」も体感型ゲームの話です。
とにかくおもしろい話というか夢中になってしまい、読み終わるまで眠れず、布団の中で読んでました。なんというかものすごい吸引力とかを持っていました。お薦めの一冊です。